文責:教理研究院
注、真の父母様のみ言および家庭連合が発表した内容は「青い字」で、UCI(いわゆる「郭グループ」)およびサンクチュアリ教会側の主張は「茶色の字」で区別しています。
今回は、2010年6月5日、真の父母様が、韓国の天正宮博物館で作成された一つ目の「真の父母様の宣布文」に対して、金鍾奭著『統一教会の分裂』が「創始者(注、お父様)の『異端者・爆破者』宣布文」と述べつつ、真の父母様の〝真意〟を歪めているその虚偽を暴き、真相を明らかにします。
2008年4月18日、七男の亨進様が家庭連合の世界会長に就任した頃から、三男の顯進様は真の父母様の指導や指示に従わず、別の動きをすることが顕在化するようになりました。2009年3月8日、いわゆる「束草事件」のとき、お父様は「顯進、おまえも別の所に行かず、父の所に来て、父に付いて回りなさい」(マルスム選集609-133)と直接命じられましたが、顯進様はその指導にも従わず、袂を分かつようになり、同年9月10日を最後に、真の父母様の前に姿を見せなくなりました。
そのような状況が起こるなか、2010年6月5日、真の父母様は、韓国の天正宮博物館で一つ目の「真の父母様の宣布文」(注、以下、「最初の宣布文」という)を作成され、その映像を公開されました。
この「最初の宣布文」に対して、金鍾奭著『統一教会の分裂』は、「創始者の『異端者・爆破者』宣布文」(173ページ)と呼んでいます。同書は、その「最初の宣布文」が「統一教会から文顯進を完全に除去するために作成された作品」(同)であるとし、さらに、これを「文亨進は自身が創始者の『代身者・相続者』」(同)と主張する核心的根拠にしていると述べています。(注、「真の父母様宣布文サイト」に掲載している「真の父母様宣布文」は、2011年5月25日に真の父母様が発表された二つ目の「宣布文」になります。)
ところで、『統一教会の分裂』の問題点は、この「最初の宣布文」の作成過程における真の父母様の会話の一部分を削除し、意図的に編集を加えていることです。真の父母様の会話を一部削除することで、「最初の宣布文」に込められている真の父母様の〝真意〟(心情、事情、願い)を隠蔽しているのです。
(1)「真の父母様の宣布文」(最初の宣布文)の真実
①「最初の宣布文」を一部意図的に削除
金鍾奭著『統一教会の分裂』173ページでは、この「最初の宣布文」を次のように引用しています。
「万王の王は一人の神様、真の父母様も一人の父母、万世代の民も一つの血統の国民であり、一つの天国の子女である。天宙平和統一本部も絶対唯一の本部である。その代身者・相続者は文亨進である。それ以外の人は異端者であり爆破者である。以上の内容は、真の父母様の宣布文である。2010年6月5日文鮮明」
上記の内容を用いて、『統一教会の分裂』は、この「最初の宣布文」が「創始者の『異端者・爆破者』宣布文」だと主張します。しかし、2010年6月5日、真の父母様が宣布された「最初の宣布文」は、上記の内容だけではありません。以下、引用します。
「特報事項は天宙統一教、世界統一教宣教本部の公文のみ認定する。2010年(天暦)4月23日(陽暦)6月5日、韓国天正宮(博物館)で発布する。文鮮明」(注、訳は教理研究院による)
このように、『統一教会の分裂』は「最初の宣布文」が「創始者の『異端者・爆破者』宣布文」であると主張することで、色紙の裏側に書かれた「特報事項」の部分を意図的に削除し、その事実を隠蔽しています。
『統一教会の分裂』は、その「特報事項」における真の父母様と亨進様とのやり取りを部分的に記載してはいますが、核心的なみ言はすべて削除しています。実は、その削除部分にこそ「最初の宣布文」における、真の父母様の〝真意〟があるのです。
お父様が、この「最初の宣布文」を作成されている動画は18分10秒の映像ですが、『統一教会の分裂』は、そのうち13分03秒までの映像の会話だけを記載しており、それ以降のみ言はすべて削除しています。
お父様は「特報事項」を色紙に書かれ、「天宙統一教、世界統一教宣教本部の公文のみ認定する。文鮮明。2010年(天暦)4月23日。韓国天正宮(博物館)で発布する」(動画16分47秒~17分03秒)と語っておられ、その色紙について、お父様は「これとこれ二つ、表裏で一つだ。内と外。事実である」(動画17分09~12秒)と語っておられます。しかしながら、この部分のみ言が『統一教会の分裂』には全く記載されていません。
お父様が語られた「これとこれ二つ」とは、色紙の両面に書かれた内容であり、「表裏で一つ」とは、色紙の表側と裏側に書かれた内容で一つの宣布文であるという意味なのです。色紙の表側と裏側の内容は「最初の宣布文」の「内と外」の関係であり、お父様が言われるとおり「事実」なのです。
ところが、『統一教会の分裂』は、動画の13分03秒以降のすべてのみ言を削除し、「特報事項」の事実を隠蔽することで、「最初の宣布文」を、表側の表記のみから「創始者の『異端者・爆破者』宣布文」であると断定し、お父様の真意を歪めているのです。
②「最初の宣布文」が、お父様の「宗教的生命と神性を破壊」したという〝虚偽〟
『統一教会の分裂』は、「最初の宣布文」によって、お父様の「宗教的生命と神性を破壊」されたとし、次のように述べています。
「創始者の宗教的生命はこの動画と宣布文の拡散によって殺害されたのである。……創始者のカリスマは、無能で貪欲であり、世俗的なレベルに転落した。この動画と宣布文を企画し流布した者は、創始者のカリスマを崩壊させ、彼の宗教的生命と神性を破壊した者である」(175~176ページ)
上記の内容は、『統一教会の分裂』のいつも通りの〝虚偽のストーリー〟に基づいた誤った主張です。
『統一教会の分裂』の169ページを見ると、色紙にお父様が「最初の宣布文」の表側を書かれたあと、お父様が、お母様と亨進様と次のようなやり取りをされたことを記載しています。
「韓鶴子:これ、全部出してもいいですか?
文亨進:言葉がちょっと強いから…
韓鶴子:これは少し強すぎるから。
創始者:何。
韓鶴子:これ、全部インターネットに上げる?
創始者:上げなきゃ」
以上のように、お父様が「それ以外の人は異端者であり爆破者である」と書かれたあと、お母様や亨進様はそれに対し「言葉がちょっと強い……」や「これは少し強すぎるから」と語られ、躊躇しておられます。さらに、お母様が「これ、全部インターネットに上げる?」とお父様に尋ねられると、お父様は「上げなきゃ」と語られ、その後、お母様は次のように語られたとしています。
「韓鶴子:全ての宣教国は全て、あの全ての統一の民は世界宣教本部の公文の指示事項のみ認めろというここにサインするのは嫌ですか?(そのようにして)インターネットに上げれば、何の欠点もありません。顯進だけ、食口が知れば、顯進は言うことを聞きません。これ(全判、全体の内容を書かれたもの)は保管しますよ」(169ページ)
上記の下線部分の翻訳は正しくありません。正しくは、以下のようになります。(注、青い文字の部分が正しい翻訳)
「食口が知れば、顯進の言うことを聞きません」(動画4分20~23秒)
「顯進は」ではなく、正しくは「顯進の」です。すなわち、お母様は、お父様に宣布文の裏側の「特報事項」である「世界統一教宣教本部の公文のみ認定する」を「食口が知れば、顯進の言うことを聞きません」と語られ、「これ(色紙)は保管しますよ」と語っておられるのです。ところが、『統一教会の分裂』は、宣布文の表側の内容を「食口が知れば、顯進は言うことを聞きません。」だから「これ(色紙)は保管しますよ」とお母様が語っておられるかのように意図的に改竄しているのです。そして『統一教会の分裂』は、その後、お父様はお母様に、次のように語られたとしています。
「創始者:保管って誰が保管するの。そうするんだよ全部」(169ページ)
上記の下線の部分は、お父様のみ言の前後を削除し、改竄しています。教理研究院の翻訳文を青色で表示し、以下、お父様のみ言を正確に表記します。
「創始者:保管って、保管ではなくこれを宣布しなくては、誰が保管するの。これを宣布しなさいというのです」(動画4分28~33秒)
お母様は、お父様が「異端者であり爆破者である」と色紙に書かれた内容に対し「これは少し(言葉が)強すぎるから」と語られ、「これ、全部インターネットに上げる?」と尋ねられ、お父様は「上げなきゃ」と語られています。それでお母様は「これは保管しますよ」と言われたと『統一教会の分裂』は記述します。
そして、『統一教会の分裂』は、お父様が「保管って誰が保管するの。そうするんだよ全部」と語られたかのように、み言を改竄しています。つまり、お父様は「最初の宣布文」をネットに上げずに、保管しておきなさいと指示されたかのように描写しているのです。
しかしながら、お父様は「保管ではなくこれを宣布しなくては、誰が保管するの。これを宣布しなさい」と強く語っておられるのです。
『統一教会の分裂』が、このように削除や改竄をしたのは、お父様が「最初の宣布文」の内容を人々が知り得ないように保管するよう指示したにもかかわらず、「お母様と亨進様」がこの「動画と宣布文を企画し流布した者」(175ページ)であると描き、それによって「お母様と亨進様」が「創始者のカリスマを崩壊させ、彼の宗教的生命と神性を破壊した者」(175~176ページ)の張本人であるかのように印象づけるためなのです。
事の真相は、お父様ご自身がこの「最初の宣布文」を「保管ではなくこれを宣布しなくては」ならないと明確に、強く指示しておられるのであり、この〝宣布〟により、お父様の「宗教的生命はこの動画と宣布文の拡散によって殺害された」事実は全くなく、『統一教会の分裂』の主張は、真のお母様と亨進様をおとしめるための、み言の改竄による〝虚偽の主張〟なのです。
(2)「最初の宣布文」は、顯進様を「除去するために作成された作品」ではない
『統一教会の分裂』は、「最初の宣布文」とは、お母様が「統一教会から文顯進を完全に除去するために作成された作品」(173ページ)であると述べています。
しかし、これは〝虚偽のストーリー〟に基づく主張です。まず、「最初の宣布文」の作成に至るまでの顯進様側の動きを理解しなければなりません。
①「最初の宣布文」作成に至るまでの経緯
2009年3月8日、いわゆる「束草事件」のとき、お父様は人事措置をされました。
『統一教会の分裂』は、そのことに対し「文顯進UPF及びGPF会長停職」(150ページ)と述べていますが、実際は、お父様は「金起勲を顯進の代身として立てるのです。顯進は勉強しなければなりません。……アベルを神様とアダム、エバよりもっと愛さなければならないのです」(マルスム選集609-131)と語られています。そして、お父様は金孝律氏に、今回の人事措置について読み上げるよう指示され、金孝律氏が「顯進様はUPF会長とGPF から1年間休み、金起勳牧師が代わりにするようになりました。顯進様はその間、真の父母様に対する学習、カイン・アベルの関係を勉強しなさい」(同、609-134)とお父様が指示されたことを伝えると、お父様は「金起勳が顯進の上にいるので長となり、顯進が侍って協助する立場に立つ」(同、609-134)と語られたのです。
お父様が、このとき顯進様に対し「UPF会長とGPF から1年間休み、金起勳牧師が代わりにする」ようにとの人事措置をされたにもかかわらず、顯進様はお父様の人事措置を無視し、「フィリピンGPCを2009年12月に予定通り推進しよう」(162ページ)としました。そのことに対し、『統一教会の分裂』は、「統一教会は公式的に創始者の名前を借りてGPCに反対し、……文顯進のGPCを潰そうとした」(162ページ)と述べています。このような状況のなかで、顯進様は、お父様に宛てて次のような書信を発信しています。
「私は状況がどうであれ、ここで決してあきらめて退くことはできません。……12月10日から14日まで、フィリピンのマニラで開催されるGPCは、中断されたり延期されることはありません。……お父様が透明かつ公正に中心を掴んで導いて来られた神様の摂理を原理的でない方法で左右しようとすることには到底、従うことができません」(162~163ページ)
2009年3月8日のお父様の人事措置に対して、同年11月20日、顯進様はこれを無視し、「状況がどうであれ、ここで決してあきらめて退くことはできません。……GPCは、中断されたり延期されることはありません。……到底、従うことができません」と書信で述べています。そのことを『統一教会の分裂』では、「創始者の意図を守るために行くべき道を行くという文顯進の意志が現れている」(163ページ)と持ち上げますが、実際は、お父様の指示に対して「到底、従うことができません」と明言する〝不従順宣言〟であり、そこには「お父様の意図に反しても自分の道を行く」という、お父様が願われる原理的な〝一体化〟を無視する姿勢が如実に現われています。
お父様の本来の意図は、「顯進が(金起勲氏に)侍って協助する立場に立つ」ことを通して、「アベルを神様とアダム、エバよりもっと愛さなければならない」という「カイン・アベルの関係」を学ばせるためのものでした。それゆえ、お父様は、顯進様が「UPF会長とGPF から1年間休(む)」という人事措置をされたのです。しかし、2009年12月10日、顯進様はお父様の意向に反して「フィリピンを訪問してGPCを強行」(164ページ)したのです。
そして、『統一教会の分裂』は、2010年5月末、顯進様は「ブラジルを訪問し、ビショップ・フェレイラと会い南米GPF活動の支援を得るなど、活発な活動」(165ページ)をしていたと記載。また同年5月30日、顯進様が「ブラジル教会を訪問した際、責任者である申東謀が韓国本部の指示により文顯進が教会の壇上に立てないように」(165ページ)しようとする出来事が起こったと言います。そして、南米の大陸会長であった申東謀氏は、「統一教会人たちに引き摺り下ろされ」(165ページ)、顯進様がブラジル教会の壇上と本部を占拠し、集会を行ったというのです。
『統一教会の分裂』は、「韓国本部の指示により文顯進が教会の壇上に立てないように」と述べていますが、2010年6月2日付の「世界宣教本部」(当時)の公文によれば、顯進様のブラジル教会訪問と日曜礼拝での集会の件で、申東謀大陸会長は世界宣教本部の公文を通じ、真の父母様からの〝特別指示〟を受けていたのです。それは、顯進様は「真の父母様の許諾なく公式的な食口集会で説教をできない」ということでした。
さらに、翌日の早朝訓読会で、顯進様が「彼(申東謀氏)の頭を小突き、座っている申東謀の足を蹴る」(166ページ)という暴力事件を起こしました。このことで、2010年6月2日付の「世界宣教本部」の公文を通じて、真の父母様の特別指示が再度あり、それは「真の父母様はこのような暴力は絶対に容認できず、今後、顯進様は真の父母様の裁可を受けずしては、絶対に公式的な集会や教会で講演や説教を行ってはならない」という内容でした。顯進様のこの暴力事件について、『統一教会の分裂』も「非統一教会人の観点からすると、文顯進の行為は非道徳的であり、暴力的であり、合理化しにくいのは事実である」(166ページ)と認めています。
このように顯進様の一連の行動は、お父様の人事措置に対する不従順、真の父母様の特別指示や「世界宣教本部」の公文に対する無視、さらには、責任者に対する暴行にまでエスカレートしていったのです。これが、真の父母様の宣布文(最初の宣布文)を作成するに至るまでの経緯であることをはっきりと知らなければなりません。
②「最初の宣布文」作成に込められた父母様の願い
金鍾奭著『統一教会の分裂』は、「最初の宣布文」は、お母様が「統一教会から文顯進を完全に除去するために作成された作品」(173ページ)であると述べています。しかし、これは〝虚偽の主張〟にほかなりません。
お父様が「最初の宣布文」を色紙の表側に書かれたあと、お父様とお母様の会話の内容が『統一教会の分裂』169~173ページに書かれています。
お母様は、「全ての宣教国は全て、あの全ての統一の民は世界宣教本部の公文の指示事項のみ認めろというここにサインするのは嫌ですか?」とお父様に何度もお願いしておられます。それに対して、お父様は「なぜ、しきりにそうなの?」とその理由を尋ねておられます。お母様は、「宣教本部を認めないから」、「世界宣教本部から出る公文だけ、民は認めろ、これですよ。……食口を教育をしなければ」、「法人を受けた名前を無視するんですよ、顯進が」、「無知な食口は、これ、宣教本部から出る公文は偽者(ママ)だ。これではいけないから」等々と語っておられます。
これは、前述したブラジル教会で起こった事件に関連している内容です。それは、顯進様が「真の父母様の許諾なく公式的な食口集会で説教をできない」という父母様の指示を、「世界宣教本部」の公文を通じてブラジル本部に事前に送り、問題解決をするように指示したにもかかわらず、申東謀氏は「統一教会人たちに引き摺り下ろされ」、顯進様がブラジル教会の壇上と本部を占拠して、集会を行ったからです。このような事態による混乱を収拾するために、お母様は食口の教育のために、色紙の裏側の「特報事項」の「世界統一教宣教本部の公文のみ認定する」という内容を書かれるよう何度もお願いされたのです。しかし、『統一教会の分裂』は、「統一教会から文顯進を完全に除去するために作成された」という〝虚偽のストーリー〟を描くために、色紙の裏側の「特報事項」や、お父様とお母様の会話のやり取りの重要な核心部分を削除しているのです。
お父様は「最初の宣布文」の色紙の裏側に「特報事項」を書かれ、それをお母様に渡されて、次のように語っておられます。
お母様「ありがとうございます。
何度も、二度三度、申し上げて、申し訳ありません。
ことが、さらに広がることができないようにしようと」
お父様「広がれば、天がほっておかない。
連れて行ってしまうよ。すべて」
お母様「はい。その前に悔い改めていけるように」
このように、お母様はブラジル教会の事件によって、混乱が「さらに広がることができないようにしよう」とされ、「特報事項」の内容をお父様に何度もお願いされたのです。
そして、お父様がこのような混乱が「広がれば、天がほっておかない。連れて行ってしまうよ。すべて」と語られたことに対して、お母様は深刻な思いで、事件の当事者たちが「その前に悔い改めていけるように」との切なる心情を吐露されたのです。
このように「最初の宣布文」とは、文顯進様を「除去するために作成された作品」ではなく、ブラジルで生じた混乱を収拾するためのものであり、顯進様やUCI側の人物たちが「悔い改めていけるように」しようとされたものなのです。ところが、『統一教会の分裂』は、そのような真の父母様の心情、事情、願いを無視し、み言の削除や改竄によって、そこに込められた真の父母様の真意を隠蔽し、顯進様こそが「最初の宣布文」の犠牲者であると仕立て上げようとしているのです。
(3)文亨進様が、「自身が創始者の『代身者・相続者』」と主張する誤り
『統一教会の分裂』の173ページには、「統一教会を離脱した文亨進が『代身者・相続者』」であると主張する核心的根拠は、下記の宣布文であると述べられています。
「万王の王はお一方の神様、真の父母様もお一方の父母、万世帯の百姓(民)も一つの血統の国民であり、一つの天国の子女である。天宙平和統一本部も絶対唯一の本部である。その代身者、相続者は文亨進である。それ以外の人は異端者であり爆破者である」(教理研究院による翻訳文)
しかし、上記の内容は「宣布文」の表側だけの内容に過ぎません。前述のとおり、宣布文は「表裏で一つ」であるとお父様が語っておられるように、表側だけを見てそれを判断してはなりません。
にもかかわらず、『統一教会の分裂』は「最初の宣布文」の裏側の内容、および真の父母様のみ言を削除し、その真意を隠蔽しようとしています。「最初の宣布文」は、表側の「その代身者、相続者は文亨進」という部分だけをもって、亨進様が「自身が創始者の『代身者・相続者』」(173ページ)と主張できる核心的根拠とはなりえないのです。お父様とお母様、亨進様のやり取りを映した「寝室の動画はこの証拠」(同)なのです。
『統一教会の分裂』の168~173ページには、「寝室の動画」の内容を記載してはいますが、その動画の始めの部分は「最初の宣布文」の表側の内容を書き終えたところからのものです。実は、主要な動画の内容は「宣布文」の裏側に書かれた「特報事項」についてのやり取りなのです。ところが、『統一教会の分裂』は、「最初の宣布文」が表側の内容だけかのように述べています。
それは、まるで「韓鶴子の強力な要求に応じて、創始者は最初の宣布文を作成した」(173ページ)かのように偽っているものに過ぎません。「最初の宣布文」とは、色紙の「表裏で一つ」であるのに、『統一教会の分裂』は、裏側の「特報事項」を削除しているために、「最初の宣布文」としての内容を的確に記述していません。
お父様が「特報事項」を書き終えた後で、お母様はそこで初めて「ありがとうございます。何度も、二度三度、申し上げて、申し訳ありません」と語っておられますが、『統一教会の分裂』はそのようなお母様のみ言を削除しているのです。削除するのは、〝虚偽のストーリー〟を綴るためです。「寝室の動画」の中で、お父様は次のように語っておられます。
「天宙平和統一連合本部は、本部も絶対唯一本部である。この本部が二つであるわけにはいかない」(169ページ)
このように、お父様は「本部が二つであるわけにはいかない」と語られ、また、「最初の宣布文」は、色紙の「表裏で一つ」だと語っておられます。そして、「最初の宣布文」の表側にある「天宙平和統一本部」とは、その裏側の「世界統一教宣教本部」のことを指しているのです。
2010年6月5日、真の父母様は「最初の宣布文」を発布され、その2日後の6月7日、亨進世界会長(当時)は「世界平和統一家庭連合世界宣教本部」の名称を「世界統一教宣教本部」に変更する公文を出しました。「最初の宣布文」に記載された「世界統一教宣教本部」とは、「世界平和統一家庭連合世界宣教本部」のことであり、その「公文のみ認定する」と真の父母様は宣布されたのです。「寝室の動画」の中で、お母様は次のように語っておられます。
「世界宣教本部会長の話だけを聞け……それがお父さんのみ言葉ではないですか?……亨進の名前立てるわけでもなく、ただ、お父さんの名前で、世界宣教本部から出る公文だけ、民は認めろ、これですよ」(169~170ページ)
このように、お母様は「亨進の名前立てるわけでもなく」と語っておられます。さらに、「世界宣教本部会長の話だけを聞」き、「世界宣教本部から出る公文だけ、民は認めろ」と語っておられるように、裏側の「特報事項」の内容を強調しておられるのです。したがって、これは、亨進様が「自身が創始者の『代身者・相続者』」であると宣布されたものではありません。家庭連合の〝世界会長〟というその位置こそが、真の父母様の「代身者・相続者」という立場であるということです。
2018年現在、亨進様は「統一教会を離脱」しており、家庭連合の世界会長の立場ではありません。現在の亨進様は、真の父母様の「代身者・相続者」という立場の〝世界会長〟という位置から完全に離脱しています。
さらに、亨進様は、非原理集団「サンクチュアリ協会」を立ち上げ、真のお母様を「堕落したエバ、バビロンの淫婦、レズビアン」(173ページ)と非難し、今では、真のお父様と姜賢實氏を〝結婚〟させて、姜賢實氏が「真の母」だと偽る歴史的な重罪を犯しています【写真参照】。(注、このお父様と姜賢實氏の〝結婚〟の問題点については、真の父母様宣布文サイトの映像「姜賢實氏の再婚問題とサンクチュアリ教会の〝祝福式〟が示す異端性」を参照のこと。https://trueparents.jp/?page_id=4352)
まさしく、亨進様の今の姿は「異端者であり爆破者」の姿なのです。
以上のように、「最初の宣布文」は、「統一教会から文顯進を完全に除去するために作成された作品」でも、亨進様が「自身が創始者の『代身者・相続者』」だと宣布したものでもありません。「最初の宣布文」とは、子女様が真の父母様を否定することによって宣布せざるを得なかったものであり、真の父母様が悲痛な心情をもって作成されたものなのです。ところが、『統一教会の分裂』は、そのような真の父母様の〝真意〟のみ言を、すべて削除し、顯進様を悲劇の犠牲者として祭り上げようとしているのです。
2009年11月14日、亨進様が、お父様の指示によって「顯進お兄さんが、真の父母様に従わなければ、統一教会人たちは従ってはいけません。……私(亨進様)が、真の父母様を否定したり、真の父母様に従わなければ、 統一教会人たちは、私(亨進様)に従ってはいけません」と語っているように、私たちは天の父母様の理想、真の父母様の願いに従ってひたすら前進すべきであり、真の父母様を否定している〝悪書〟『統一教会の分裂』の〝虚偽の主張〟にだまされてはいけません。
以上