小冊子『UCIを支持する人々の言説の誤り』序文の紹介

文責:教理研究院

注、真の父母様のみ言は「青い字」で、 UCI(いわゆる「郭
グループ」)側
の主張は「茶色の字」で区別しています。

 2016年の秋以降から、UCI(いわゆる「郭グループ」)を支持する人々による分派の動きが活発になってきています。そこで、彼らの〝言説の誤り〟をまとめた小冊子『UCIを支持する人々の言説の誤り・No.1』を出版することとなりました。
 以下、その小冊子の序文「はじめに」を掲載いたします。

著『統一教会の分裂』(日本語訳)の〝虚偽のストーリー〟

 UCI(いわゆる「郭グループ」)を支持する人々が、2016年秋頃から日本で集会を行って広めている金鍾奭著『統一教会の分裂』(日本語訳)には、真のお母様をおとしめる〝み言改竄〟や〝誤訳〟が散見します。
 まず、韓国語版の『統一教会の分裂』では、み言を継ぎはぎすることによって〝み言改竄〟を行っており、その真意を歪曲させています。そして、さらに日本語訳では、その文章を自分たちに都合の良いように悪意を持って〝誤訳〟しています。
 この『統一教会の分裂』(日本語版)は、340ページに及ぶ書籍ですが、内容は読む者をして、真の父母様に対する信仰を失わせるように巧妙に仕組まれていることに注意しなければなりません。そこに書かれた概要は、次のようになります。

 統一教会の創始者(注、真のお父様)の子息のなかで、後継者に最もふさわしい人物は三男の顯進氏であった。彼は、自他が公認する統一教会の後継者であり(58ページ)、外貌から見ても創始者に似ており、性格も似ている。彼の登場は、統一教会が再強化される機会であった(60ページ)。学歴など、彼の能力は、父とは異なって天の啓示にだけ依存しない合理的かつ理性的で、統一教会を復興させる希望を呼び起こすものだった(61ページ)
 また、顯進氏を支える郭錠煥氏は、公務の処理に厳格であり、立場を与えられても清廉な生活をし、公金横領が一切なく、模範的な人格者であった(87ページ)
 一方、四男の國進氏は、郭錠煥氏を要注意人物と考え、不正を暴露しようと画策したが(85~86ページ)、國進氏は嘘つきであり、創始者は彼の嘘に激怒した(90ページ)
 七男の亨進氏は、宗教性はあるが、自分の宗教性に頼り統一教会の伝統を歪曲することで統一教会のアイデンティティに混沌をもたらした(104ページ)。國進氏や亨進氏は後継にふさわしくない。にもかかわらず、彼らは顯進氏に代わって統一教会の後継の座に登場するようになる。その過程には、「パークワン事業に対する文國進の偽りの報告」があり(91ページ)、創始者を巻き込んだ訴訟まで起こした。これらの出来事は、顯進氏を追い落とすための陰謀であった(95~97ページ)
 その陰謀の背景に、「文顯進氏を危機として感じていた」(60ページ)第一世代の抵抗があり(80ページ)、かつ顯進氏の血統問題について言及し、創始者に影響を及ぼした韓鶴子がいた(116ページ)。文仁進氏の米国総会長の就任、2009年3月の束草事件も陰謀によるものであった(120、152ページ)
 陰謀が渦巻くなか、後継者を誰にするかについて、創始者の態度はハッキリしなかった(69~70ページ)。この創始者の態度が、統一教会に混乱を招くことになった。
 また、韓鶴子は創始者の血統を疑っており(110ページ)、創始者に対して「不従順」であった(245~253ページ)。創始者はそのことに苦心していたというのが真相である。
 創始者が他界した統一教会は危機を迎えている。創始者のアイデンティティが韓鶴子のアイデンティティによって否定されているためである(318ページ)。韓鶴子の他界後には多くの議論が予想される(319ページ)。しかし、創始者のアイデンティティを維持しながら、それを創意的に拡大しデザインしようとしている顯進氏によって、統一教会人を再活性化することができるようになるであろう(323ページ)

 以上が大まかな内容ですが、この本の問題は上記内容を裏付けしようとして、要所、要所で〝み言改竄〟や〝誤訳〟をしており、真の父母様の実体、お父様のみ言と食い違っている点です。この書が述べている内容は〝虚偽のストーリー〟です。
 また、総論的な「韓鶴子の不従順」(245ページ)という項目では、お父様のみ言が18個も引用されていますが、マルスム選集の原典に当たってそれを検証すると、全てのみ言が改竄されたものです。
 この改竄行為は、真の父母様をおとしめるものであり、多くの人々の判断を誤らせる歴史的な〝神行為〟であると言わざるをえません。

「真のお母様を中心に一つになる」ことが真のお父様の願い
   ――『統一教会の分裂』の内容は、反対派の言説と酷似

 『統一教会の分裂』では後継者を誰にするか、創始者の態度はハッキリしなかった(69~70ページ)と述べますが、事実とは違っており、お父様のご意思は明確なものでした。
 お父様は、先生が霊界に行くようになればお母様が責任を持つのです。その次には息子・娘です。息子がしなければなりません。息子がいなければ、娘がしなければなりません。後継する者が誰だということは既に伝統的に全て(準備が)なされています」(マルスム選集318-260)、「私(注、お父様)がいなくても、お母様の前に一番近い息子・娘が第三の教主になるのです(マルスム選集、202-83~84)と明言しておられます。
 このように、お父様は後継に関する〝秩序〟をハッキリ語っておられ、まず、「先生が霊界に行くようになればお母様が責任を持つ」ということであり、次に「息子・娘」ということです。
 そして、注目すべき点は「息子がいなければ、娘がしなければなりません」と語っておられる点です。このように、お父様は、相続者としての〝後継〟の問題について、明確にその秩序を述べておられます。
 さらに、「先生が一人でいても真の父母様の代身であり、お母様が一人でいても真の父母様の代身です。『レバレンド・ムーンが古希を過ぎて七十を越えたので後継者が現れないのか?』そんな言葉はやめなさい。……先生が第一教主、その次に、お母様は第二教主だということです」(マルスム選集、201-126)とも明言しておられます。
 ところが、2000年3月31日、原理研究会世界会長に顯進様が就任し、その関係者が顯進様をお父様よりも前面に押し立てて報告するようになると、お父様は同年5月31日、「父の伝統に従って、母の伝統に従って、三番目に息子である。それを知っているの? ……母の伝統を立てる前に息子の伝統を立てることができないことを知っているの?」(マルスム選集323-83)と語られ、父と母が立てた伝統に従って息子が伝統を立てるように忠告しておられます。このように、お父様のご指導は明確なものであった事実を知らなければなりません。

 ところで、『統一教会の分裂』を読んで懸念するのは、そこに書かれた主張が、いわゆる反対派の「真の父母」を不信させようとする統一教会批判と驚くほど酷似している点です。日本統一教会では、信者に対する拉致監禁を伴った強制的脱会説得事件が長年にわたり起こってきました。
 その際、反対牧師、反対弁護士、ジャーナリストらがその背後にあって父兄たちを教唆するなど、脱会説得事件に関わってきました。1993年3月6日の山崎浩子さんの失踪事件の背後には、有田芳生氏や石井謙一郎氏らジャーナリストによる山崎さん入信スクープがあり、強制的な脱会説得事件の一翼を担った立場での報道がなされました(参考、太田朝久著『有田芳生の偏向報道まっしぐら』賢仁舎)。
 『統一教会の分裂』に書かれた〝ストーリー〟は、反対派の一翼を担う報道をした石井謙一郎氏による統一教会批判と極めて酷似しており、石井氏の批判をわざわざ135ページで紹介しています。長年、統一教会の反対運動をしてきたキリスト教関係者をはじめ反対派が、統一教会を批判するUCIにすり寄って、その内部に忍び込み、天の摂理妨害に加担し、〝工作〟をしているのではないかと疑わざるをえません。

UCI(いわゆる「郭グループ」)問題の経緯

 1998年7月19日、顯進様が「世界平和統一家庭連合」の世界副会長に就任したことで、信徒の中には、顯進様がお父様の〝後継者〟であると考える人もいました。しかし、家庭連合の教えは「人類の真の父母は、永遠に一組である」というものであり、人類の真の父母に後継者は存在しません。キリスト教が2000年間イエス様と聖霊を中心に歩んだように、天一国も、文鮮明・韓鶴子ご夫妻が、永遠に唯一なる「人類の真の父母」であられるのであり、そういう意味で「真の父母」に後継者は存在しないのです。
 2008年4月18日、七男の亨進様が家庭連合の世界会長に就任した頃から、顯進様は真の父母様の指導や指示に従わず、別の動きをすることが顕在化するようになりました。2009年3月8日、韓国・束草で、お父様は顯進様に対して「全ての公職から退き、父母と共に生活しながら原理を学ぶように」「GPFから一年間、休むように」と指示されましたが、顯進様は従わず、同年9月10日を最後に、真の父母様の前に姿さえ見せなくなったのです。また、郭錠煥氏も2009年12月を最後に、真の父母様の前に姿を見せなくなりました。
 2010年2月、顯進様はGPF大会を開催し、それに対してお父様は再度、「GPF大会をしてはならない」と指示されましたが、その後も大会を強行していきました。
 やがて顯進様は、2010年4月27日、家庭連合及びその関連団体の資産を管理するUCI(国際統一教会、Unification Church International)の理事会を乗っ取り、真の父母様の指導や許可を得ずに公的資産を売却し、定款も改定し、「国際統一教会、Unification Church International」の名称を単にUCIに変えて統一教会及び真の父母との関係を断絶させ、それを運営するようになりました。
 そうした状況の中、2011年5月25日、真の父母様は「真の父母様宣布文」を発表され、その中で、顯進様をはじめUCI理事陣(顯進様を中心とするグループ)に対し「即刻現職から退くこと。許諾なく公的資産を処分して得た全財産を返還せよ」と指示されたのでした。しかし、UCIはその指示を完全無視し、別行動を続けています。
 なお、顯進様らが活動に用いている財源であった家庭連合及びその関連団体の資産について、米国の裁判所が2016年12月23日、「GPFおよびその他の世界平和統一家庭連合と無関係のいかなる存在・組織へのどんな種類のどんな寄付をも禁じる」との仮差し止め命令を下し、UCI側の資産処分に歯止めをかけています。
 ちなみに、『統一教会の分裂』は、「(顯進様は)創始者のアイデンティティを維持しながら、それを創意的に拡大しデザインしようとしている」(323ページ)と述べますが、この小冊子を読めば分かるように、顯進様の説くアイデンティティは、お父様が語られるアイデンティティと、ことごとく食い違ったものになっています。
 お父様は2010年7月16日、顯進様に従おうとする故・神山威氏に対し「(顯進は)もう、ずっと前に離れたんだよ、10年前に」「顯進は先生と同じ方向に向いていない。逃げ回っている。顯進が先生の方向に来なければならないんだよ」「なぜ先生に質問しないで顯進の方にいくのか」と語られました。
 お父様が「逃げ回っている」と語られたように、お父様は何とかして顯進様を教育しようとしておられたに違いありませんが、教育できないままに、お父様のアイデンティティと異なることを平然と述べる「統一教会の党派(分派)」になってしまったことに対して、深く心を痛めざるをえません。最近では、「家庭平和協会(FPA)」という組織を立ち上げ「FPAは、創始者が世界平和統一家庭連合を通して実現しようとしていたものを目標としている」(314ページ)と平然と述べるなど、分派の動きを強めています。
 私たちはこの小冊子を熟読することでUCI 問題の本質を理解し、UCIを支持する人々が流す真の父母様から離反させようとする〝虚偽の情報〟に惑わされることがないよう十分に注意する必要があります。