文責：教理研究院
注、真の父母様のみ言や『原理講論』は「青い字」で、江利川安榮氏や
サンクチュアリ教会などの主張は「茶色の字」で区別しています。
江利川安榮氏は、2025年1月12日（日）のサンクチュアリ礼拝で、「『真の父母は一体』は本当か？」と疑念を提起し、「お父様とお母様は一体ではない」と批判しています。
江利川氏は礼拝で「一覧表」なるものを提示し、①「神について①」、②「神について②」、③「神の人間創造について」、④「『原理講論』について」、⑤「イエス様の相対者について」、⑥「真の母の血統について」、⑦「真の母の教育について」という7つの項目を挙げて、み言の改竄や省略、み言の文脈を無視した解釈を行って、真の父母様が一体であることを否定しようとしています。
その一つ一つを検証すると、余りにもデタラメな批判に満ちています。そもそも〝お父様とお母様が一体化していない〟と批判すること自体が、2010年にお父様が発表された「真の父母様の最終一体」を否定するものです。彼女は、お父様のみ言を信じていると装いながら、お父様のみ言を本音では信じていないことを露呈しています。
以下、江利川安榮氏が主張している7つの項目の論点に対して検証します。第１回目の今回は、①と②について反論します。なお、この反論文は全4回になります。
① 「神について①」
江利川氏はお父様のみ言を改竄し、お母様が語られる神（天の父母様）を「『天の父』と『天の母』の二元論の神」であると批判しています。しかし、これは誤りであり、お父様とお母様の神観は一致しています。
江利川氏は、提示した「一覧表」なるもので、お父様のみ言を取り上げていますが、それは改竄されており、部分的に省略したり、意味合いを変えたりしています。その目的は、お母様の語られる「天の父と天の母」（天の父母様）という神観に対し、お父様がそれを〝問題視〟しておられるかのように誤読させるためです。
江利川氏の提示した改竄したみ言を以下、述べます。（注：サンクチュアリ教会は、み言を巧妙に改竄しているため、比較は慎重にしなければなりません）
【サンクチュアリ教会の翻訳文】
「神様は１人ですか、２人ですか？（「２人です」）。何ですか？（「天の父と天の母のお２人です」）。２人ですか、１人でしょう？２つの性稟が入っているのです。（あなたには）良心がありますか、ありませんか？（「あります」）。体がありますか、ありませんか？（「あります」）。その２つが一つになって１人の女性ではないですか。（神様は）性稟は２つありますが、体は男性的主体としていらっしゃるということです。
その男性格主体というのは何ですか？女性格主体がいるとすれば、もう一つ別の男性格主体がいるという話になるので、二元論になるというのです。二元論にひっくり返ってしまいます。ですから、永遠に一元論でなければならないので、神様は男性と女性の中和体として、主体的な性稟を持った男性型としていらっしゃるということです」（『御言選集』182-63,1988.10.14）（注：ライトグレーのラインマーカーを引いた太字の部分は、江利川氏が赤い字にしている部分）
【実際のお父様のみ言】（注：青い字の部分は、サンクチュアリ教会側が削除したり改竄したりした部分を、正確に翻訳し直したものです）
「神様は1人ですか、2人ですか？ （「2人です」）。何がですか？ 神様は１人……。朴ヂョンミンなのか、何と言うヂョンミンなのか、２人だと言うの？ （「天の父と天の母のお2人です」）。それが2人ですか？ 1人でしょう。 ２つの性稟が入っているでしょう。その朴ヂョンミンは（あなたには）良心がありますか、ありませんか？ （「あります」）。体がありますか、ありませんか？ （「あります」）。それは2つですが、合わせて朴ヂョンミンという1人の女性ではないですか。（神様は）性稟は2つありますが、体は男性格主体としていらっしゃるということです。
その男性格主体というのは何ですか？ 女性格主体であれば、どれほどいいですか。女性格主体がいるとすれば、もう一つ別の男性格がいなければならないという話になるので、二元論になるというのです。分かりますか？ 二元論にひっくり返ってしまいます。ですから、永遠に一元論になろうとすれば、 （神様は）この男性と女性の中和体として、主体的な性稟を持った男性形としていらっしゃるということです」（『マルスム選集』182－63）
サンクチュアリ教会が翻訳した内容と、実際のお父様のみ言を比較すると、お父様は、「天の父と天の母」という考え方を問題視しておられるのではないことがわかります。お父様が問題視しておられるのは、朴ヂョンミン氏が、神様は「天の父と天の母のお2人です」と語ったことに対してであり、神様が「天の父と天の母」であることについてではありません。お父様は、「天の父と天の母」について「それが2人ですか？ 1人でしょう」と指摘しておられます。つまり「天の父と天の母」という神は男性と女性の二性性相の〝唯一神〟であり、お父様はその神を「1人でしょう」と語っておられます。
お父様は「天の父と天の母」という考え方それ自体を問題視しておられるのではないのに、まるでそれを問題視しておられるかのように、江利川氏は述べており、これは悪意に満ちた〝詐欺的批判〟なのです。
事実、『原理講論』は、唯一なる神様について「父母なる神」（61ページ）、「人間の父母としていまし給う神」（91ページ）、「天の父母なる神」（235ページ）、「神は、霊的な父母として、人間を実体の子女として創造された」（429ページ）等々と論じています。神様は唯一なるお方ですが、「天の父」と「天の母」すなわち「天の父母なる神」なのです。
お父様は次のように語っておられます。
「神様が自分の二性性相を展開し、神様の形状どおり万宇宙を造り、人間を造ったのです。アダムは神様の男性的性稟を展開させたものであり、エバは神様の女性的性稟を展開させたものなのです。このように見るとき、私たち一般人が普通『天のお父様！』と言うのは、お一人ですからそのように言うのでしょうが、そのお一人という概念の中に『天のお父様、お母様』という概念が入っているというのです」 （八大教材・教本『天聖經』1421ページ）
また、お父様は、今まで神を「天の父」とだけ呼んできた理由について、自らが書かれた『原理原本』で次のように述べておられます。
「創造の目的は何か。天の父母が基本目的であるが、『父なる神様』とだけなっており、いまだに創造目的が完成できずにいるのである。神様が父格としておられるのは、創造目的を果たせなかったことを意味するものである……。……このように堕落によって天の父母は完成されず、地の父母も非原理的な状態になったのである。……（ゆえに）アダムとエバが完成して神様と合体すれば、父なる神様と母なる神様として完成し、基本完成をすることになる」（『天の父母様聖会』天苑社、162～163ページ）
『原理原本』を見ると、お父様は唯一なる神様に対して「天の父母」と述べておられ、その数は40か所以上にも及びます。前述のように、お父様ご自身は「アダムとエバが完成して神様と合体すれば、父なる神様と母なる神様として完成」すると述べておられ、「創造の目的は……天の父母が基本目的」であるとし、神様が「天の父母」にならなければならないとしておられます。したがって、お母様が天一国時代を迎えて神様の呼称を「天の父母様」とされたことは、まさに、お父様が「創造の目的は……天の父母が基本目的」と述べておられる時代圏が到来したことを表しており、お母様の語られた「天の父母様」は、お父様の神観と一致しています。
以上のように、お父様とお母様は一致しているにもかかわらず、み言を改竄して一致していないと批判する江利川氏の主張は、お父様をも蔑（ないがし）ろにするものであり、欺瞞に満ちています。
【韓鶴子女史の言葉】（以下は、サンクチュアリ教会が引用したみ言）
「私は今まで、隠された摂理の真実を話すと言いました。天の父母様というときは、『天の父』だけいらっしゃるのではなく、「天の母」もいらっしゃいます。この名称（天の父母様聖会）は、天の母が中心になって世界人類を抱いて生んでくれるという意味があります」（『世界家庭』2020年６月号、2020年５月８日）
「創造主である神様は、万物世界を見たとき、人間世界を見たとき、男性格の主体ではなく天の父と天の母として存在され、生命体が誕生したということを、皆さんははっきりと知らなければなりません」（2018年２月21日「天地人真の父母様御聖誕記念敬礼式」）
以上のお母様の2つのみ言は、お父様が語られるみ言と一致しており、天の父と天の母の中和体である唯一神について述べているものです。
〝天の父と天の母が二元論だ〟とするサンクチュアリ教会側の批判は、お父様のみ言を改竄して述べている欺瞞に満ちた批判です。お母様の神観は二元論ではありません。お母様の「創造主である神様は……天の父と天の母として存在され」と語られたみ言は、お父様の「お一人という概念の中に『天のお父様、お母様』という概念が入っている」というみ言と同じことを語っておられるのです。
② 「神について②」
江利川氏はサンクチュアリ礼拝で、お母様の語る神観は〝原理を否定するもの〟であると批判していますが、これは誤りです。お母様は原理を否定しておられません。
江利川氏が述べたお父様のみ言は、前項と同様に、正しく翻訳されていません。同氏が述べたみ言には削除した部分があり、お母様のみ言も改竄しています。その結果、お母様がまるで原理を否定しているかのように誤読させようとしているのです。
以下、江利川氏が提示したみ言を示します。
【サンクチュアリ教会の翻訳文】
「神様は、『原理』でいえば二性性相の中和的存在です。主体的存在です。このように、ぱっと一言で定立します。男性格を備えた主体的存在だというのです」（『御言選集』149-11,1986.11.1）
「『原理』で論じている二性性相の主体としていらっしゃる神様は、どのような方ですか。二性性相の神様であると同時に、『二性性相の中和的主体』としていらっしゃるお方です。その主体の本質が愛です。絶対的愛だというのです」（『御言選集』136-37,1985.12.20）（注：ライトグレーのラインマーカーを引いた太字の部分は、江利川氏が赤い字にしている部分）
【実際のお父様のみ言】（注：「青い字」の部分は、正確に翻訳し直したものです）
「神様は、我々の『原理』の規定でいえば、神様は二性性相の中和的存在です。主体的存在です。このように、ぱっと一言で定立します。男性格を備えた主体的存在だというのです」（『御言選集』149－11～12）
「原理で論じている二性性相の主体としていらっしゃる神様は、どのような方ですか？二性性相の神様であると同時に、二性性相の中和的主体としておられます。その主体の本質は何でしょうか？愛なのです。絶対的愛だというのです」（『御言選集』136－37）
【韓鶴子女史の言葉】（以下、サンクチュアリ教会が翻訳したもの）
「今後、あなたたちが教育しなければならないことは創造原理ですが、『原理講論』で説明している創造原理ではありません。創造主の本質は天の父母様です。生命の源泉は母を通して誕生するということです。男性は0.001％、母は99.999％、天の父母様も同じです。今までは天の父として紹介されていました。『原理講論』には『二性性相の中和的主体』とありますが、そうではありません。それを正さなければなりません」（2023年５月18日）
【実際のお母様のみ言】（注：「青い字」の部分は、サンクチュアリ教会側が削除したり改竄したりした部分を、正確に翻訳し直したもの）
「今後、あなたたちが教育しなければならないことは創造原理ですが、『原理講論』で説明している創造原理ではありません。創造主の本質は天の父母様です。生命の源泉は母を通して誕生するということです。男性は、夫は0.001％、母は99.999％、天の父母様も同じです。今までは天の父として紹介されてきました。ですから、『原理講論』には二性性相の中和的存在、そうではありません。そこから正さなければなりません」（2023年５月18日）
ちなみに、お父様は、生命の源泉において、母親が持つ役割が極めて大きいことについて、次のように語っておられます。
「皆様は、すべて父母の愛を通して生まれました。知ってみると、皆様は、99.999パーセントを、母親の血と肉と骨を譲り受けて生まれました。残りの0.001パーセントは、父親を通して受けた胤(たね)であると見ることができるのです」（『ファミリー』2004年11月号34ページ）
このように、お父様はお母様のみ言と同じく、生命の源泉は99.999パーセントが母親からであると語っておられます。また、「子供たちはお母さんを中心として模倣して習います。子供を教育する者は、お父さんでもないし、他の人でもありません。お母さんが先生です。80パーセント以上模倣して習うのです」（『祝福』1994年春季号29ページ）と、子供の教育においてさえも母親の役割と使命が絶大であることを語っておられます。さらに、「ユダヤ人社会内やイスラエル国内においては、『ユダヤ人の母を持つ者』をユダヤ人と呼ぶ」（「Wikipedia」より）とあるように、母親の存在は〝ユダヤ人の血統〟を決めるにおいても決定的に重要なのです。
結果の世界である被造世界は、すべてが第一原因である天の父母様から来ているものです。そのように考えると、お母様が語られたみ言の意味合いをより正確に述べるため、以下のように括弧（ ）内に言葉を補足すれば、次のようになります。
「今後、あなたたちが教育しなければならないことは創造原理ですが、『原理講論』で説明している創造原理ではありません。創造主の本質は天の父母様です。生命の源泉は母を通して誕生するということです。男性は、夫は0.001％、母は99.999％、（結果の世界がこうなっているなら、第一原因の）天の父母様も同じです。（それにもかかわらず、神様を）今までは天の父として紹介されてきました。ですから、『原理講論』には（天の父としての）二性性相の中和的存在（と述べていますが）、そうではありません。（実際は、天の父と天の母の二性性相であり、天の父母様において、天の母が果たす役割が大きいということです。）そこから正さなければなりません」という意味合いでお母様は語っておられるのであって、これはお父様の語られるみ言と同じであり、また決して原理を否定するものではありません。
さらに、お父様は天の摂理において、女性が果たす使命の大きさを次のように語っておられます。
「これからの世界の問題も、このカイン・アベルで解決するのです。その次は、お母さんを中心として、家庭の問題です。個人、家庭、氏族、民族、国家、全世界的なアベル・カイン圏が勝利することによって、その中にいるお母様が勝利します。これが、家庭を中心としたお母様の使命です。個人としてはエバの使命です。これが分かれば、歴史全体をきれいに摂理公式で解決できるのです」（『文鮮明先生の日本語による御言集 特別編２』291ページ）
お父様は生涯路程において、最後に創設された「アベル女性UN」の創設大会（2012年7月16日）のみ言で、聴衆に向かって「勝利した世界的な女性代表である真のお母様に侍り」と繰り返し語られ、そのお母様に侍ることによって「真なる母の像、真なる妻の像を確立し、真の愛の運動によって理想的な家庭を結実させなければ」（『虚偽に満ちた金鍾奭著「統一教会の分裂」』353～354ページ）ならないと語られ、お母様を「勝利した世界的な女性代表」と証ししておられます。そして、次のようにも語っておられます。
「今に至るまで、数多くの宗教がありますが、父なる神様を信じる宗教にはなりましたが、母のいない宗教を信じてきたという恥ずべき、恥ずかしさをこの時間に爆発させ、その歴史的な、あってはならないその悲運の痕跡を取り消すために、ここに現れた……私の歩む道は、平和な道ではありませんでした。……母がいません。父なる神様は知っていますが、母のいない父を自分の神様だと言って争い、奪い合う闘いをするこの教団どもの愚かさと国の権威の喪失を、誰が是正してあげるのですか」（前掲書346ページ）
このようにお父様は、最後の創設大会で「真のお母様」と「天の母（母なる神）」を紹介したい思いに満ち溢れておられたのです。ちなみに、2012年4月21日の特別集会で、お父様は「女性尊重時代が来ます。お母様を中心として、ひっくり返るのです。男女が同等で対等の価値の実権をつくるのです」（「KMS中和新聞」2012年4月27日号）と語っておられ、女性尊重時代を迎えるべきことを訴えておられました。
以上、お母様は「創造主の本質は天の父母様」であるとしながら、「今までは天の父として紹介」されてきたのだと語っておられます。つまり、『原理講論』では、神様は「天の父」という観点からのみ、「二性性相の中和的主体」として理解されてきたことを指摘しておられ、それは「天の父母」という観点から見た〝真理の啓示の漸進性〟において、まだ明らかにされていない不十分な状況にあったと言えるのです。
上述したお父様のみ言でわかるように、神様は「二性性相の中和的存在」であり、さらに「二性性相の中和的主体」として存在しています。そして、その「主体の本質」は「絶対的愛」、すなわち「父母なる愛」であると語っておられるのです。
お父様もお母様も、創造主なる神様が「天の父と天の母」の〝唯一神〟であるという認識で完全に一致しており、それを否定するサンクチュアリ教会の言説に惑わされてはいけません。
