「中田敦彦のYouTube大学」の動画:「【高市早苗】愛国保守は統一教会を許せるか?」に対して

文責:教理研究院

(一)はじめに

 中田敦彦氏の「中田敦彦のYouTube大学」で、2025年9月30日付で「【高市早苗】愛国保守は統一教会を許せるか?」と題する動画が配信されました。その内容は〝統一教会の教義はこうである〟と断定した上で、中田氏の持論が展開されています。教義は教団の信徒でさえも軽々しく取り扱うことができないほどに神聖な領域であり、宗教の核心部分とも言えますが、その核心部分が歪曲されています。
 結果として、この動画を見た家庭連合(旧統一教会)の信徒は〝中田氏が言うようなことを、私たちは信じていない。曲解されている〟といった残念な思いを抱いている人が多くいるのが実態です。
 中田氏は、多くのフォロワーを持つYouTuberですので、社会的影響力は大きく、その分だけ社会的責任も問われます。
 そこで、この動画の内容を検証した上で、反論等を行っていきます。
 この検証を通して、どの発言が正しく、何が間違っているのかを明確にしたいと思います。
 なお、新たな誤解が生じることを防ぐ目的から、中田氏の発言は茶色の文字で、家庭連合(旧統一教会〈以下「統一教会」〉)側の出版物や発言などは、青色の文字で区別して表記します。

(二)中田敦彦氏による発言の概要

 中田氏は、今回の動画で、以下のような内容を語っています。
(1)韓国が「アダム国家」、日本が「エバ国家」
(2)「『保守派の人たち』……が懇意にしていた……。保守派の人たちの考え方というものと、統一教会の教義というものが、整合性が取れないと思っている」
(3)「日本は……韓国に対して支配的な対応をしていたということがあるので、それを贖罪するために日本は存在しているという教義が、(統一教会の)基本教義。……韓国にお金をどんどんと納めなければいけない……愛国者からすると、許しがたいこと」
(4)「90年代、(20)00年代と統一教会は一気にバッシングを浴びて、衰退するわけです。ところが……2015年、安倍政権下……名称の変更が行われる……『世界平和統一家庭連合』。……でもそれは『統一教会だってわからなかった』……改名して、また新規に信者を得ようというのはおかしい」
(5)「2015年の名称変更に関しては……ターニングポイントだと思うので……ここの検証は徹底的に行い、誰がどのような意思決定を行って、名称ロンダリングというふうな現象に至ってしまったのか……国民にしっかりと発表することで……『政治と宗教の問題』に関して一定の信頼回復ができると思う」

 中田氏は、以上の5つの内容について語っています。以下、これらの点を検証します。

(三)上記の5つの点の検証

(1)「韓国が『アダム国家』、日本が『エバ国家』」の意味について
 確かに、中田氏が言うように統一教会信徒は、韓国が「アダム国家」であり、日本が「エバ国家」であると信じています。中田氏のこの発言に対し、異論はありません。
 ところで、中田氏は次のように語っています。(以下、動画の4分17秒からディクテーション)

中田氏:「統一教会の教義、『原理講論』という経典がありまして、そこにあるのが、日本と韓国の関係というのは、韓国が『アダム国家』、日本が『エバ国家』というかたちで(書かれている)

 中田氏は上記のように、『原理講論』にそのことが書かれていると断定的に述べます。実は、上記の文言は『原理講論』に一言も書かれていません。書かれていないことを、書いてあるかのように述べるのは問題です。中田氏のような有名なYouTuberが、事実に基づかないことを語るのは、誤解を広めていく原因となります。
 「アダム国家」「エバ国家」について『原理講論』に書かれているのは、以下の内容です。

 (第二次世界大戦の時)アメリカは男性国家として天の側のアダムを、イギリスは女性国家として天の側のエバを、フランスは中間的な国家として天の側の天使長を各々象徴し、ドイツは男性国家としてサタン側のアダムを、日本は女性国家としてサタン側のエバを、イタリアは中間的な国家としてサタン側の天使長を各々象徴したのである。(また)第一次世界大戦においての米、英、仏と、ドイツ、オーストリア、トルコも、やはり各々このような類型に編成された、蘇生的な象徴型としての天の側とサタン側の国々であったのである」(554ページ)

 第一次世界大戦の時は、天の側のアダム国家はアメリカであり、天の側のエバ国家はイギリスです。第二次世界大戦の時も同じです。中田氏が言う「韓国が『アダム国家』」という文言は、『原理講論』に一言も書かれていません。第二次世界大戦の時まで、アメリカが「アダム国家」で、イギリスが「エバ国家」なのです。実は、このことは、『原理講論』の教義を正しく理解する上で、きわめて重要なことになります。
 さらに、中田氏の言う「日本と韓国の関係」において、「韓国が『アダム国家』、日本が『エバ国家』」であるという文言も『原理講論』には存在しません。ただ第二次世界大戦の時に、ドイツが「アダム国家」であるのに対し、日本が「エバ国家」だと書かれているだけです。この点も重要なことです。
 さらに、第一次世界大戦の時は、サタン側の「アダム国家」がドイツであり、サタン側の「エバ国家」がオーストリアだと言うのです。このように、「アダム国家」「エバ国家」について、書かれているのは、以上の内容です。
 では、アメリカがなぜ「アダム国家」であり、イギリスがなぜ「エバ国家」になったのか、その理由について、『原理講論』は次のように論じています。

 「第二次世界大戦は、民主主義によって結託した米、英、仏の天の側国家と、全体主義によって結託した独、日、伊のサタン側国家との対戦であった。それでは、どうして前者は天の側であり後者はサタン側なのであろうか。前者はアベル型の人生観を中心として、復帰摂理の最終段階の政治理念として立てられた民主主義を根本理念とする国家であるから天の側である。後者はその政治理念がカイン型の人生観を中心としており、反民主主義的な全体主義国家であるゆえにサタン側である」(546ページ)

 上記のように、日本がサタン側の「エバ国家」というのは〝全体主義〟に立っていた第二次世界大戦時に限定され、大戦後の日本は〝民主主義国家〟であり、サタン側の「エバ国家」ではなくなっているという結論になります。
 ここで「アダム国家」、「エバ国家」とは何か?という、その概念について触れておきたいと思います。ある意味で、このことを理解した上でなければ、韓国が「アダム国家」、日本が「エバ国家」であるという意味を、正しく理解することはできず、誤解が生じてしまう要因となりかねません。
 家庭連合の出版物『文鮮明先生を中心とする現代の摂理』(光言社)では、「エバ国家」について次のように説明しています。

 「神の摂理から見れば、エバ国家のイギリスから生まれたアベル国家がアメリカであった。したがってアベル国家に対し、神の願う方向へ国家的次元で母子協助しなければならなかったのが(エバ国家)イギリスの使命であった」(107ページ)

 第二次世界大戦時の「エバ国家」はイギリスですが、それは、民主主義の根幹をなす〝信教の自由〟を確立したキリスト教の中心国家であり、世界の〝ために生きる〟アメリカに対し、その役割が果たせるように母子協助(注:母として子を助ける)し、世界を生かす母の働きをなす立場であるというのです。すなわち、これは世界に向けられた概念なのです。

 では次に、「アダム国家」について説明します。『原理講論』は次のように述べています。
 「み言によって創造されたアダムとエバは、完成したならば、み言の『完成実体』となるはずであった。しかし、彼らは堕落することによって、み言を失った存在となってしまった」(372ページ)。「アダムは神のみ言を信じないで堕落してしまったので、……み言の『完成実体』となることができなかったので、創造目的を達成(理想世界実現)することができなかった」(278ページ)。堕落によって神の創造理想世界が実現できなくなったというのです。ゆえに、神の救いの摂理は、失ったみ言を、まず取り戻すことにあったのです。
 そうして「人間の心霊と知能の程度が高まるに従って、モーセの時代(旧約時代)には律法を、イエスの時代(新約時代)には福音を下さった」(169ページ)と説明しています。
 ゆえに、最終的に、神の創造理想を解き明かした「新しい真理」が現れなければならないと『原理講論』は結論付けています(30~37ページ)。すなわち、人類が希求してきた理想世界(人類一家族世界)を建設するための指針となるみ言を失い、そのみ言の「完成実体」を失ったことが、人類にとって最大の悲劇であったということです。
 ゆえに、理想世界を実現するには、まず真理のみ言が必要であるというのです。ある意味で、み言を復帰していくことが人類の救いの歴史であったというのです。イエスの福音(新約のみ言)を世界に伝え、人類に希望の指針を与えるのが「アダム国家」の使命であり、それは人間始祖アダムがみ言を失うことで果たせなかった使命を代わりになすためなのです。
 キリスト教の中心国家であるアメリカは、「アダム国家」としてイエスの福音(新約のみ言)を全世界に伝え、人類に生きる希望を与え、理想世界建設を牽引する役割を果たすのが使命ということになります。
 以上が、『原理講論』に書かれている「アダム国家」、「エバ国家」の意味です。

 ところで、第二次世界大戦後に、再臨主が登場するようになるというのが『原理講論』の主張です。「第二次大戦が終わったあとからは再臨摂理の長成期に入るので、多くの信徒たちがイエス再臨に関する啓示を受け、神霊の業(役事)が世界的に起こるようになる」(551~552ページ)とあるように、終戦後、文鮮明師が解明した「統一原理」を広く世界に宣べ伝える時が到来していたと言うのです。
 「統一原理」が現れる前段階においては、神のみ言が完全には現れておらず(参考:Ⅰコリント13・12)、そのため「民主主義は、共産主義を屈伏せしめ得る何らの理論も実践力ももちあわせてはいないのである。ゆえに、神の救いの摂理が完全になされるためには、この『新しい真理』は今まで民主主義世界において主唱されてきた唯心論を新しい次元にまで昇華させ、唯物論を吸収することによって、全人類を新しい世界(理想世界)に導き得るものでなければならない」(『原理講論』32ページ)というのです。
 文師が解明した「統一原理」には、共産主義思想を克服する内容があります。世界を共産主義革命から守る砦となり得るものなのです。統一教会の友好団体・国際勝共連合は、この「統一原理」に基づく「勝共理論」によって、世界の国々を共産主義革命から守る重要な役割を担ってきたのです。
 したがって、第二次世界大戦の時までは、イエスの福音(新約のみ言)を世界に宣べ伝えていく使命を持っていたアメリカが神側の「アダム国家」でした。

 しかし、『原理講論』には書かれていません、第二次世界大戦後、新しい真理である「統一原理」のみ言を全世界に伝え、人類一家族世界という理想世界建設の指針を示す役割を果たす韓国が「アダム国家」になっているのです。すなわち、「アダム国家」とは真理のみ言を提示し、それを伝えていく使命のある国のことです。中田氏が述べるような、「韓国にお金をどんどんと納めなければいけないということを正当化し……お金が全部韓国の支部に集められることを正当化するための概念ではありません。
 また、第二次世界大戦後における神側の「エバ国家」は、民主主義の立場に立つ日本です。先ほど、第二次世界大戦まではイギリスが「エバ国家」であったように、今や、神のみ言を世界に伝える使命を果たす韓国に対し、その役割を果たせるように助け、世界を生かす母としての働きをなす神側の「エバ国家」が日本だというのです。中田氏が言うような、「日本は先の(第二次世界)大戦の時に、非常に韓国に対して支配的な対応をしていたということがあるので、それを贖罪するためということではありません。どこまでも、父の国(アダム国家)の韓国と共に、世界を生かす母の役割を果たす国家なのです。この「父の国」「母の国」については、後述します。

(2)保守派の人たちが、なぜ統一教会および勝共連合と懇意にしていたのか?
 ①懇意にしていた理由について
 中田氏は次のように述べています。(以下、動画の3分41秒からディクテーション)

中田氏:「非常に私が不思議に思っているのが、統一教会と懇意にしていた関係が深かったのが……『保守派の人たち』と言われる人たちが懇意にしていたわけですよね。保守派の人たちの考え方っていうものと、統一教会の教義っていうものが、整合性が取れないなと思っているんですね」

 この疑問についてお答えします。保守派の人たちの中で、家庭連合および勝共連合を高く評価し、懇意にしてきた人物に、中国共産党による〝チベット問題〟に当事者として深く関わってきたペマ・ギャルポ氏がいます。ギャルポ氏は、家庭連合の友好団体・勝共連合に対して次のように評価しています。
 「私が思うに、あの(冷戦)時代にもし勝共連合がなかったら、たぶんアジア全体が共産主義に支配されていたかもしれない。その時に勝共連合は……私からすると日本人が実感として共産主義(の恐ろしさ)を知らないから、勝共の果たした役割は大きい(『勝共連合かく闘えり』世界日報社34ページ)

 また、アメリカのレーガン元大統領やイギリスのサッチャー元首相も、次のように語っています。
 「創刊15周年記念式には、世界の有名人たちからあふれんばかりの祝賀メッセージが届きました。レーガン元大統領は、『「ワシントン・タイムズ」は20世紀で最も重要な10年を私と共に過ごしました。私たちが共に腕まくりして働いた結果冷戦を終息させることができたのです』と述べ、『ワシントン・タイムズ』が共産主義に勝利するに当たって大きな役割を果たしたことを、世界の人々に知らせてくれました」(『人類の涙をぬぐう平和の母』202ページ)。ワシントン・タイムズは、文鮮明師と韓鶴子総裁が創設した保守派の新聞です。
 「イギリスのマーガレット・サッチャー元首相も、『「ワシントン・タイムズ」が創刊された当時(注:1982年)は、(共産主義問題で)非常に困難な時代でした。それは今も変わりません。しかし、「ワシントン・タイムズ」が生き残り、栄えている限り、保守主義の価値は決して色あせないでしょう』と感謝の言葉を寄せてくれました」(同)

 このように、レーガン元大統領やサッチャー元首相も、共産主義に対し勝共運動が果たしてきた役割の大きさについて称賛しています。この点は、アメリカのブッシュ元大統領も同じ意見を述べています。このように、共産主義との闘いという点を見なければ、なぜ保守派の人たちが勝共連合やその関係団体と懇意にしてきたのか、その理由を理解することはできないでしょう。共産主義から日本を守護し、その国益を守ろうと左翼勢力と闘ってきたがゆえに、日本でも岸信介元首相をはじめ、保守派の多くの人たちが懇意にしてきたのです。マスコミはこれらのことをほとんど報道してこなかったため一般には余り知られていませんが、勝共連合と家庭連合をはじめとする関係団体は共産主義から日本を守る最前線で戦ってきた愛国団体なのです。
 日本では1960年代、70年代に学生運動(左翼)が猛威を奮い、その左翼運動の盛り上がりから、1973年当時、日本共産党の「宮本顕治委員長は『1970年代の遅くない時期に民主連合政府をつくる』」(『勝共連合かく闘えり』43ページ)と豪語したほどです。その日本赤化の流れを食い止めたのが勝共運動でした。日本の共産化を夢見ていた宮本氏にとって、それを妨害した勝共運動は、不俱戴天の敵と言える存在でした。それを一番認識していたのが、他でもない宮本氏自身です。宮本氏は「勝共連合との戦いは重大。大衆闘争、イデオロギー、国会、法律の各分野で……共同して、全面的な戦いにしていく必要がある。自民党に対しては〝勝共連合といっしょにやれば反撃をくって損だ〟という状況をつくることが重要だ。〝勝共連合退治〟の先頭に立つことは、後世の歴史に記録される『聖なる戦い』である」(「赤旗」1978年6月8日号)と宣戦布告しました。

 なお、中国共産党における文化大革命の際、毛沢東は約6500万人を虐殺したと言われます。もし、日本が共産化されていたなら、日本も〝血の海〟になっていたに違いありません。もっと言えば、ペマ・ギャルポ氏が言うようにアジア全体が共産主義に支配されていたかもしれない状況が生まれ、6500万人を優に超え、アジア全体でもっとおびただしい犠牲者が出ていたに違いありません。その意味で、勝共運動およびそれを支持した統一教会(家庭連合)は、日本およびアジア諸国を守った愛国団体なのです。
 武蔵野女子大学元教授の杉原誠四郎氏は、「全共闘や安保闘争で、マルクスは間違っているのだと唱えた勝共連合が、左翼の動きを沈静化するために貢献した意義は大きい。……(勝共連合は)マルクス主義に対し整然と理論的に論破した……日本のためになる団体としてきっと評価が高まる」(『勝共連合かく闘えり』287~288ページ)と述べています。

②「スパイ防止法制定」のための取り組み
 さらに、「スパイ防止法制定」に力を入れたのも勝共運動でした。それは、日本の国における中国共産党および北朝鮮の革命工作員の暗躍から、日本を守るための取り組みでした。この「スパイ防止法制定促進国民運動」は、勝共連合によって1978年12月にスタートし、1982年7月の「レフチェンコ証言」以降は、「スパイ防止法を望む世論は急速に高まっていた。都道府県民会議は、地方議会でのスパイ防止法制定促進の意見書採択運動を進め、世論の高まりを目に見える形にしていった。昭和60年(1985)4月には、27県議会を含む1500地方議会で促進議決が行われ、達成率は当時の全地方議会の45%となった(同104ページ)。このように、共産化から日本を守る取り組みをしたのが勝共運動です。これは間違いなく愛国運動なのです。だからこそ、そのことをよく知っていた保守派の人たちは、勝共連合と懇意にしていたのです。杉原氏が述べるように、「日本のためになる団体」と認識していたからでした。

③左翼勢力による保守派と勝共連合との〝分断作戦〟
 1978年に「勝共連合との戦いは重大。……全面的な戦いにしていく必要がある。自民党に対しては〝勝共連合といっしょにやれば反撃をくって損だ〟という状況をつくることが重要だ。〝勝共連合退治〟の先頭に立つことは、後世の歴史に記録される『聖なる戦い』である」との左翼勢力の大同団結による〝全面闘争〟を訴えた宮本氏の宣戦布告以来、日本共産党の志位和夫氏(注:2000~2024年、日本共産党委員長)が2022年10月、田原総一朗氏の「共産党からすれば統一教会と最終戦争だ」との発言に対し、志位氏が「長い闘いだった。彼らが反共の先兵として最初に牙をむいたのは1978年の京都府知事選だった。……決着をつけるまでとことんやりますよ」(「サンデー毎日」2022年11月6日号)と語っているように、日本共産党をはじめ左翼勢力は44年間、絶えず一貫して〝勝共連合退治〟に執念を燃やし続けてきたのです。
 左翼勢力、特にマスメディアに潜む左翼ジャーナリストたちが総力を挙げて、勝共連合および統一教会を貶めるバッシングのプロパガンダを行ってきたことで、統一教会および勝共連合のイメージは実態と大きく乖離し、モンスター化していると言わざるを得ません。
 このようなマスメディアの情報を〝真に受けた〟信徒の父母や親族らが関与して行う拉致監禁による強制脱会説得事件が数多く起こってきたのです。この深刻な人権侵害の問題を日本のマスメディアは黙殺してきました。むしろ、そのことを諸外国の有識者が問題視しており、最近は国連からもこの拉致監禁問題は信教の自由を侵害する深刻な問題であると、日本政府に対して何度も是正を求めて勧告しているほどです。
 ウィリー・フォートレ氏(人権活動家・「国境なき人権インターナショナル」創設者兼代表)も、『日本:棄教を目的とした拉致と拘束』という書籍で、日本政府に対して次のような勧告を行っています。
 「警察と司法当局は、成人を監禁下で強制棄教させようとする拉致行為に直接間接に関与した人々を起訴すべきであり、刑事事件化を差し控えるべきではない。……拉致・監禁の被害者たちに、公式に謝罪すべきである」(60ページ)
 このような拉致監禁下で強制的に脱会させられた元信者が、統一教会を相手に裁判闘争を行い、それをマスメディアが報道することで、統一教会に対する「反社」というレッテル貼りが行われてきたのです。

 今日でも、マスメディアの報道を見ると、家庭連合に対する〝令和の魔女狩り〟とも言い得る状況が生じています。これは、宮本顕治氏が1978年に行った左翼勢力の大同団結による「聖なる戦い」の呼びかけが、47年の歳月を経て結実しつつあることを意味します。常に、信徒の親族らの不安をかき立てるために、元信者の批判情報だけをプロパガンダし続け、今や統一教会は〝巨悪集団〟というイメージとなっています。これは1978年以来の「勝共連合退治」の取り組みによる結果だと言えるのです。
 拉致監禁による強制脱会説得によって脱会させられた元信者による〝裁判闘争〟およびネガティブな報道等によって、統一教会を窮地に追い込もうとする反対派勢力の長年の取り組みについて、国際弁護士の中山達樹氏は次のように指摘しています。

 「反家庭連合(反統一教会)勢力が、『脱会屋』と呼ばれる業者に依頼して信者を拉致・監禁し、強制的に脱会させ、『脱会したなら家庭連合を被告にして訴えろ』と『踏み絵』をするように提訴させることが30年間近く行われてきました。これは『脱会ビジネス』と呼ばれ、拉致監禁被害者は4300人を超えるようです。その『拉致監禁→裁判』という構図を、グラフで表すと上記(「脱会ビジネス」30年の図表)のようになります。例えば、信者の後藤徹氏は、12年半も監禁され、脱会屋を訴えて2015年に最高裁で勝訴し、2200万円の賠償額を勝ち取りました。このように、家庭連合が脱会屋に対して勝訴して拉致監禁がなくなったため、『踏み絵』のように提訴される家庭連合に対する裁判もなくなったのです。この拉致監禁とそれに関わっていたとされる全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の関係については、山上徹也被告が安倍元首相殺害の前日に手紙を送ったジャーナリスト・米本和広氏が著した『我らの不快な隣人』(情報センター出版局)に詳しく描かれています」(『拝啓 岸田文雄首相 家庭連合に、解散請求の要件なし』25~27ページ)
 上のグラフを見れば、拉致監禁事件の発生件数が、民事裁判の件数に連動していることがよく分かります。
 まさに宮本顕治氏が目論む、自民党に対しては〝勝共連合といっしょにやれば反撃をくって損だ〟という状況をつくる土壌が、拉致監禁問題によって作られてきたと言えるのです。

④左翼勢力による〝分断作戦〟の結果
 このようにマスメディアの左翼勢力が、世論を誘導してきた結果として、「統一教会と懇意にしていた関係が深かったのが……『保守派の人たち』と言われる人たち」であったのはなぜだろうか?と中田氏が疑問に感じざるを得ない状況になっているのです。
 すなわち、マスメディアに潜む左翼勢力が総力を挙げ、勝共連合および統一教会に対してプロパガンダをしてきた理由は、勝共連合および統一教会が、日本の共産化を阻止してきたためであり、かつ「スパイ防止法制定」を推進してきたからに他なりません。
 今日、中国共産党の工作員らが日本の政財界をはじめ、各界における浸透工作を行い、さらに北朝鮮の工作員らの暗躍による〝暗号資産獲得〟のためのサイバー攻撃など、日本が甚大な被害を受け、大きな脅威にさらされる〝国難〟とも言い得る状況になったため、再び「スパイ防止法制定」の必要性が保守派の有識者らの間で叫ばれ始めています。この「スパイ防止法制定」の必要性について、勝共連合は1978年以来、47年間にわたって一貫して変わらずに訴え続けてきました。勝共連合は愛国団体であり、だからこそ保守派の人たちは、日本を共産化から守ろうとする勝共連合および統一教会と親密な関係を築いてきたのです。

(3)〝日本は贖罪のため、韓国にお金を貢いでいるという教義がある〟との発言に対して
①「日本は贖罪のため韓国にお金を貢ぐ」という教義は存在しない
 中田氏は次のように述べています。(以下、動画の4分36秒からディクテーション)

中田氏:「日本は先の(第二次世界)大戦の時に、非常に韓国に対して支配的な対応をしていたということがあるので、それを贖罪するために日本は存在しているという教義が基本教義になっている。だからこそ、非常に日本国民からすると、ある意味、侮蔑的じゃないですか。だからこそ日本は、韓国にお金をどんどんと納めなければいけないということを正当化して、国富が流れている。国民のお金が全部韓国の支部に行っている。吸い上げられているという現状(がある)

 こう断言する中田氏ですが、そのような教義は統一教会に存在せず、『原理講論』にも書かれていません。〝ない〟ことを〝ある〟と断言する中田氏の主張を聞くと、それは2010年2月28日出版の櫻井義秀・中西尋子共著『統一教会——日本宣教の戦略と韓日祝福』(北海道大学出版会)などに基づいて語っているのではないかと思われます。
 櫻井義秀氏は宗教学者であり、統一教会研究の第一人者とされている学者ですが、この研究書は、第六章の冒頭197から202ページの「研究の方法」でその研究の情報源を明らかにしています。結論から言えば、櫻井氏の情報源は統一教会を既に脱会した元信者であり、その大半は統一教会を相手取って民事訴訟を起こした原告とその関係者です。極めて〝偏った情報〟に基づいて書かれたものなのです。
 中田氏がこの書に基づいて語っているとするなら、櫻井義秀氏への反論書、魚谷俊輔著『反証 櫻井義秀・中西尋子著「統一教会」』(世界日報社)が出版されていますので、それをお読みいただきたいと思います。魚谷氏は「櫻井氏は、統一教会反対派のネットワークから情報を入手したのである」(同202ページ)と指摘しています。
 また「安倍元首相暗殺事件」以降、2023年3月25日、櫻井義秀著『統一教会——性・カネ・恨から実像に迫る』(中公新書)が出版されましたが、この書については世界平和統一家庭連合・教理研究院著『櫻井義秀著「統一教会——性・カネ・恨から実像に迫る」に対する反論』(光言社)をお読みいただきたいと思います。これらの反論書を読めば、櫻井義秀氏の研究内容が、いかに偏ったお粗末なものであるか、ご理解いただけると思います。

 さて、先に指摘したように、統一教会の教義に「日本は先の大戦の時に、非常に韓国に対して支配的な対応をしていたということがあるので、それを贖罪するために日本は存在しているという教義が基本教義になっている。……だからこそ日本は、韓国にお金をどんどんと納めなければいけないということを正当化して」いるという教えはありません。また、文師がそのように語られたメッセージも存在しません。反統一教会の活動を熱心に行ってきた人々も、そのように語ったという文師のメッセージを提示したことはありません
 これは、左翼勢力による〝保守派〟に対する分断作戦と言わざるを得ません。反対派勢力は、このような〝デマ〟を流布して日本の保守派を攪乱させ、分断し、日本の保守勢力を弱体化させようとしているのだと言えます。

②「アダム国家」「エバ国家」を、「父の国」「母の国」と表現する意味について
 統一教会は、韓国を「アダム国家」と言いますが、今は韓国を「父の国」と呼んでいます。また、日本を「エバ国家」と言いますが、今は「母の国」と呼んでいます。これは、「反日思想」とは全く無縁です。
 「父の国」「母の国」と言うとき、父と母の関係は対等であり、どちらが上で、どちらが下ということはありません。また、これは両国家間の関係性のみを語る〝了見の狭い〟考え方でもありません。「父の国」「母の国」とは、世界に向けて語っている概念です。
 すなわち、「父の国」とは、「統一原理」「勝共理論」「統一思想」など理念や思想を通じて世界が向かうべき指針を示し、理想世界のビジョンを明確にする使命がある国ということになります。また「母の国」とは、子供(世界の諸国)にお乳を飲ませ、保護し育成して、さらに自立ができるよう助ける使命をもつ国ということです。つまり日本は世界平和の実現のため、発展途上国が自立できるように教育(技術力を移転)し、経済格差を是正して、世界を平準化する天的な使命を持っているということです。
 実際に、日本人宣教師や、国際祝福を受けた女性、および統一教会の友好団体NGOの女性メンバーが海外へ出ていき、世界の国や地域に尽くしています。こんなところにも統一教会の人がいるのかと驚かれたりするほどです。国、宗教、人種、民族、文化の壁を超えて世界に尽くしています。貧しい地域には職業訓練所をつくり、医療面で困窮していれば、救急車を寄贈し、医療奉仕団を送って支援しています。さらに、学校をつくり、井戸を掘り、農業や漁業の技術指導を通した支援もしています。それは、日本が「母の国」として世界の国々を育み、守っていく使命があるからなのです。それが「母の国」という意味です。そのような支援活動は、現地の人々から感謝され、日本人は高く評価されています。現地の人から、日本の戦後復興は奇跡だと見られていますが、統一教会の日本人メンバーの国際的な活躍を通して、日本はさらに高く評価され、世界から尊敬され愛される国となっているのです。そのような道を切り開いてくださったのが文師、韓総裁であり、統一教会の教えは決して「反日」ではありません。

 また、文師は次のように語っています。
 「日本から来たお金は、韓国のために使っていません。世界のために使っています。世界のために使わなければなりません。……そのお金を韓国のために使ってはいけません。莫大な資金をアメリカのために、自由世界のために使っています(『神様の摂理と日本』127ページ)。当然、自由世界には日本も含まれています。
 「お金は私にとって何の意味もありません。人類のために、貧困で死んでいく隣人のために使われないお金は、一枚の紙切れにすぎません。一生懸命に働いて稼いだお金は、世界を愛し、世界のために働くところに使われてこそ価値があるのです」(『平和を愛する世界人として』光言社版、362ページ)
 また、韓総裁も次のように語っています。
 「信徒が献金をすれば、そのお金は社会と世界のために使われたのです。宣教師が海外に出るときも、古びたトランクを一つだけ持って行きました。彼らは任地で働き、自分で稼いだお金で何とか教会を切り盛りしていったのです。信徒たちの献金は様々な国に学校を設立し、病院を建て、奉仕活動をすることに使われました(『人類の涙をぬぐう平和の母』244ページ)
 このように、日本が「母の国」と呼ばれるとき、それは世界に向けて語られているのです。
 ちなみに、日本は「母の国」であるという点を述べると、日本が「女人の国である」という認識は古来よりあったものです。根本には天照大神を奉ずる国というものがあります。例えば、日蓮上人はそれをハッキリと打ち出しています。すなわち「日本国と申すは女人の国と申す国なり、天照大神と申せし女神のつきいだし給える(奉ずる意)島なり」(『日蓮大聖人御書』「日眼女御返事」)と語っています。
 以上が、韓国を「アダム国家」、日本を「エバ国家」、さらにそれぞれを「父の国」「母の国」と呼んでいるその意味です。

(4)「統一教会」から「家庭連合」に名称変更をした理由
――「バッシング」されたため、新規の信者獲得を目的に改名したのではない
 中田氏は次のように述べています。(以下、動画の9分42秒からディクテーション)

中田氏:「90年代、(20)00年代と統一教会は一気にバッシングを浴びて、衰退するわけですよね。ところが……2015年、安倍政権下……名称の変更が行われるわけですよね。……『世界平和統一家庭連合』です。……それは『統一教会だってわからなかった』……改名して、また新規に信者を得ようというのはおかしいよね」

 統一教会は1954年5月1日、韓国のソウルにおいて創立されました。文師は「統一教会」について、かねてより次のように語っていました。
 1954年に、私は韓国のソウルにおいて正式に統一教会を創設しました。……(ソウルの)北鶴洞の小さな家で看板を掲げて出発したのです。私は教派をつくろうとしませんでした。……それをつくろうとしたのではありません。教派を超越した超教派的な面において運動をしようとしたのですが、(それをキリスト教が)受け入れなかったのです。それで仕方なく、統一教会をつくったのです(『真の御父母様の生涯路程③』26ページ)
 「統一教会も教会ですが、私は教会という言葉が好きではありません。仕方がなく教会という看板を付けたのです。私は統一教会をつくって、『ああ、神様! 統一教会をつくったので、私は誇らしく思います』と、そのようには思いません。統一教会という看板を掲げてはいますが、この看板をいつになったら取り外すことができるか、という考えをもっています。この看板は、国のための看板です。国を取り戻すためには、看板も取り外してしまうというのです。国を生かすためには、看板も取り外してしまうのです(同29~30ページ)
 文師は、統一教会の創立当時からその名前のままで活動するつもりはなかったのです。
 中田氏は、「統一教会は一気にバッシングを浴びて衰退するわけですよね……名称の変更が行われるわけですよね……『世界平和統一家庭連合』です。……この統一教会だと分からなかったと。その後に自民党の議員さんがおっしゃっていることにも、やはり関わるのが改名問題」ですと語っていますが、名称変更したのは、統一教会のイメージが悪くなり、世間の批判をかわすため、いわば〝正体隠し〟のような手段として、名称を変えたわけではありません。

 文師は1997年4月10日付をもって「世界平和統一家庭連合」の名称を使用するように願いました。その名称変更について、文師は次のように語っています。
 家庭が定着しなければなりません。今までの宗教は、個人圏を目標としたのであって、家庭圏を目標とした宗教はありませんでした。すべて家庭を捨てて、出家していったのです。今は、時代が違います。いかなる宗教も個人救援を唱えていたのであって、そこには家庭救援や氏族救援、また国家救援という言葉はありませんでした。私たち統一教会は、家庭を中心として国家救援、世界救援を主張しているのです。
 家庭が定着し、世界と通じることができる家庭となってこそ、エデンで願われた神様の創造理想の結実が現れるのです。……ゆえに、家庭が重要です。すべてのものは、『世界平和統一家庭連合』で終わるのです。……その中心は何かというと、家庭です(『真の家庭と家庭盟誓』25~26ページ)

 このように、文師は〝個人の救援時代〟から〝家庭の救援時代〟ひいては国家救援、世界救援時代へと移行する時を迎えたため、名称を「統一教会」から、「世界平和統一家庭連合」にしなければならないと語っているのです。
 つまり、時が来れば、〝家庭救援〟〝氏族救援〟以上を目指す宗教として、創立当初より「世界平和統一家庭連合」という名称を使用することを考えていたのです。
 バッシングによってイメージが悪くなったため、いわば〝正体隠し〟をするために、家庭連合に名称変更したのではありません

(5)名称変更は、「名称ロンダリング」ではない
 中田氏は次のように述べています。(以下、動画の11分30秒からディクテーション)

中田氏:「2015年の名称変更に関しては、非常に大きいターニングポイントだと思うので……ここの検証は徹底的に行い、誰がどのような意思決定を行って、名称ロンダリングというふうな現象に至ってしまったのかということを、国民にしっかりと発表することで……『政治と宗教の問題』に関して一定の信頼回復ができるんじゃないかと思う」

 統一教会が創立されて43年を経た1997年、文師は「世界平和統一家庭連合」に名称を変更するように、世界に向けて発信しました。それは、前項で述べたように〝個人の救援時代〟から〝家庭の救援時代〟に、ひいては国家救援、世界救援時代へと移行する時を迎えたため、そのように発信したのです。
 ゆえに、世界各国の統一教会は「世界平和統一家庭連合」に名称を変更するようになりました。ところが、日本においては、なかなか認められませんでした。世界と足並みを揃えるために、日本の統一教会においても、文化庁に名称変更の相談を重ね、2015年になって名称変更に係る規則変更の「認証申請」を行い、同年8月26日に認証を受けて、名称を変更するに至ったのです。これでやっと、世界と足並みを揃え、かつ、創始者の意向に沿うことができると、日本の教会員は喜びました。
 日本統一教会は、2015年8月31日付で「法人の名称変更告知」の公文を出しました。この「世界基督教統一神霊協会(統一教会)」から「世界平和統一家庭連合(家庭連合)」への名称変更は、文師がかねてから願っていたことを告知し、また、名称変更後1年間は全国の各教会において、統一教会と家庭連合の名称を〝教会施設の看板と出版物等に併記する〟など、統一教会が家庭連合に名称変更したことを広く世間に知らせる努力をしました。統一教会の公式ホームページでも、この名称変更のことをプレスリリースで告知していますし、主要メディアにも伝えました。なお、この名称併記のことは、文化庁と事前相談の段階で、社会に広く周知する予定であることを伝え実行したものです。
 したがって、一部のマスコミが述べる〝世間の批判をかわすため〟に名称を変えたかのような批判は、事実無根の的外れな憶測、決めつけにすぎず、中田氏が述べるような「名称ロンダリング」ということでもありません。

 以上、5項目について検証しました。上記述べましたように、中田氏には統一教会の教義と活動、友好団体の活動に対する誤解があるようです。どこから得た情報かは定かではありませんが、間違った内容のYouTubeの配信は、デジタルタトゥーとしてインターネット上に半永久的に残り、報じられた側が社会の誤解を受け続け、名誉を毀損され続けることは明らかです。また、配信した側も「大学」を名乗りながら、いい加減な情報を社会にたれ流したとして、心ある視聴者から指弾され、自らの名誉を汚すことになることは明白と言えます。

―以上―